「文章が小学生レベル!」「設定が甘い!」とやたらとアンチが多い山田悠介作品。
ですが、細かい部分に目くじら立てずに世界観に入れば、文章もわかりやすくて読みやすいですし、面白い作品ばかりです。
なにより、こんなにも「読みたい!」と思わせる奇抜な設定を次々に考える山田先生は、間違いなく天才だと思います。
読み終えた時に「胸にずしっとくる作品」が多いので、読むのに体力がいる点には要注意。
そんな山田悠介先生のおすすめ小説ベスト15をご紹介していきます!
目次
- 1 15位「モニタールーム」のあらすじと感想
- 2 14位「配信せずにはいられない」のあらすじと感想
- 3 13位「二ホンブンレツ」のあらすじと感想
- 4 12位「レンタル・チルドレン」のあらすじと感想
- 5 11位「僕はロボットごしの君に恋をする」のあらすじと感想
- 6 10位「Xゲーム」のあらすじと感想
- 7 9位「パーティ」のあらすじと感想
- 8 8位「メモリーを消すまで」のあらすじと感想
- 9 7位「復讐したい」のあらすじと感想
- 10 6位「スイッチを押すとき」のあらすじと感想
- 11 5位「キリン」のあらすじと感想
- 12 4位「スピン」のあらすじと感想
- 13 3位「リアル鬼ごっこ」のあらすじと感想
- 14 2位「DUST」のあらすじと感想
- 15 1位「その時までサヨナラ」のあらすじと感想
15位「モニタールーム」のあらすじと感想
月収100万円という破格の仕事を見つけた徳井。その仕事内容とは、刑務所の地下のモニタールームで、いくつものモニターを見るという簡単なものだという。不審に思いながら、ひとつ目のモニターをのぞき込んだ徳井が見たモノとは、無数の地雷で隔絶された地帯に住む少年少女たちの姿だった!そして別のモニターには、牢獄に入った中年女性の姿が映し出されており―!?山田悠介が放つ最高の絶対不可能ゲーム。
※モニタールーム (角川文庫)より引用
大分救いのない話で読んでてちょっときつかったな…
嫌ーな方でのどんでん返しがあったりと、読み終えた後にモヤモヤを抱えることになるかもしれません。
「スイッチを押すとき」の設定を一部引き継いでるので、先にそっちを読んだ方がいいと思います。
14位「配信せずにはいられない」のあらすじと感想
あれから5年、高校生になった坂本孝広と橋本陽介たちは学校内でサークルを作り、動画の投稿や生放送で話題を集めて楽しんでいた。ところが、さらにリスナーを増やそうとする部員が過激な動画をアップしはじめたことから、事態は思わぬ方向へ転がってゆく。孝広たちは彼の暴走を止め、子どもたちを救えるのか? 成長した孝広たちが活躍する学園パニックストーリー!
※【文庫】 配信せずにはいられない (文芸社文庫)より引用
一応「坂本孝広」のシリーズものなんですが、特に他のを呼んでなくてもOKです。
明らかに今風な題材が好きです。
ユーチューバーの動画を見た後にこの小説を読むと、なんとも言えない気持ちにさせられます。
13位「二ホンブンレツ」のあらすじと感想
近未来、対立の続いていた東西日本がついに分裂した。たまたま東京に来ていた広島出身の博文は、突然の出来事で将来を約束した恋人・恵実と生き別れになってしまう。なんとか彼女に会う方法はないか、小学校の教諭をしながらチャンスを待っていた。ところがようやく潜入した西で目撃したのは、驚きの独裁社会だった。博文は恵実と再会することができるのか?そして2人に待ち受ける驚愕の運命は!?―。
※【文庫】 ニホンブンレツ (文芸社文庫)より引用
「東京都知事が大阪をディスる→大阪人激怒して西日本独立」というツッコミどころ満載のスタート。
他にもツッコミどころ満載ですが、その辺を気にしなければ案外面白いです。
山田先生には珍しく恋愛もので、不覚にも感動させられてしまいました。
明らかにこれ朝鮮半島がモデルだよね?
12位「レンタル・チルドレン」のあらすじと感想
愛する息子・優を病気で亡くした泰史と冬美は、子供のレンタルと売買をしている会社P.I.を紹介された。二人は、リストの中から優と瓜二つの子供を見つけると、迷わず購入を決める。しかし一カ月後、その子供は急速に老化し、顔が溶けていく…。泰史は真相を求め、P.I.の研究所に忍び込む。そこでは、日夜恐ろしい実験が繰り返されていた。
※レンタル・チルドレン (幻冬舎文庫)より引用
ぞっとするようなあらすじにひかれて読み始めました。
相変わらずのホラー色たっぷりの内容です。
ただ…ラストについてはかなり賛否両論あると思います。
「えっ?これ終わったの?」って方も多いようで、ネット上でもそんな意見がチラホラ。
読者の想像力にゆだねられているようなラストです。
自分なりの解釈をして、ネット上で別の意見を見てみると、案外楽しめますよ。
11位「僕はロボットごしの君に恋をする」のあらすじと感想
二〇六〇年、三度目のオリンピック開催が迫る東京で、人型ロボットを使った国家的極秘プロジェクトが進んでいた。プロジェクトメンバーの健は、幼なじみで同僚の陽一郎、そして彼の妹の咲に助けられながら奮闘する。ところが、咲の勤務先にテロ予告が届き事態は急変した。目的を達するために、はてしなく暴走する研究者の狂気。はたして健は、テロを防ぎ、想いを寄せる咲を守れるのか?そしてラストに待ち受ける衝撃と、涙の結末は?男の打った最後の一手が、開けてはいけない扉を開ける!
※僕はロボットごしの君に恋をするより引用
面白かった!
ラストに待ち受ける衝撃に衝撃受けたよ。
恋をする感じが中高生っぽいような、甘酸っぱい、懐かしい感じ。
それでいて、結構切ない物語になっています。
読み終わるとね、題名にね、「あぁ~~」ってなります。
10位「Xゲーム」のあらすじと感想
小久保英明は小学校時代「×ゲーム」と称し、仲間4人で蕪木鞠子をいじめ続けた。段ボール箱にいじめの内容を書いたクジを入れ、それを引いては書かれたことを実行するのだ。ある日、英明は「蕪木に告白する」というクジを引き、やむなく愛を告げる。それから12年、突然、彼らの前に現れた蕪木は、英明への偏執的な愛を抱き壮絶な復讐を始める。
※×ゲーム (幻冬舎文庫)より引用
ちょっとグロ要素とホラー要素強めな作品。
グロ系が苦手な人にはおすすめできませんが、ぞわぞわーっとくる妙な面白さがあります。
あとプロローグとエピローグのつなぎが上手い!
読み終えた後、もう一度プロローグを読んでみたくなりますよ。
9位「パーティ」のあらすじと感想
4人の少年たちは、小学生の頃から友情を育んできた親友だった。しかし彼らは、ある事件をきっかけに、離ればなれになってしまう。だが今日、謎の手紙に誘われ、頂上に神様がいると言われている“神獄山”で再会する。身体の弱い転入生の少女を4人で守ろうとした、罪ある過去を思い出しながら、過酷な山道を登り始め頂上を目指す。果たして山頂で彼らを待ち受けているものとは?そして“罪ある過去”とは―。
※パーティ (角川文庫)より引用
「彼らの罪って何?」とワクワクしながら読み進めました。
現在編と過去篇を行き来しながら謎が解けていきます。
そして離れ離れになった4人の気持ちが徐々に1つになっていき…とミステリー要素の中にふんだんに「友情」が盛り込まれていて、思わずぐっときます。
割と素直な感動系で、山田先生の作品の中ではある意味異端かもしれません。
8位「メモリーを消すまで」のあらすじと感想
犯罪防止のため、全国民の頭に埋められたメモリーチップ。「記憶削除」を執行する組織MOCの相馬誠は腐敗はびこる所内の権力闘争に巻き込まれていく。実権を掌握しようとする黒宮の真の目的はなんなのか?そして争いに巻き込まれたストリートチルドレンの悲劇とは?「消えた9時間」をめぐる戦慄のストーリー!隠蔽、逃走、復讐のはてに、感動のラストが待ち受ける!!
※【文庫】 メモリーを消すまで I (文芸社文庫)より引用
大人の汚い私利私欲や権力欲に、憤りを隠せなくなる作品です。
あとやっぱり「記憶を消せる」という設定が面白い!
自分がこの世界にいたら…と思わず空想したくなっちゃうのはこの小説あるあるだと思う。
山田先生にしては珍しく全2巻とボリューミーな仕上がりになっているので、山田ワールドにどっぷりつかりたい方は是非。
7位「復讐したい」のあらすじと感想
「復讐法」に則り家族を殺された遺族は犯人を殺してもいい。ただしルール厳守。(1)場所は孤島・蛇岩島に限る。(2)制限時間は100時間。(3)遺族には武器と食料とGPS等が与えられるが犯人は丸腰。(4)ここでは誰が誰を殺傷しても罪にならない。―最愛の妻を殺された泰之は最も残虐な方法で犯人を殺すことに決めた!背筋の凍る復讐ホラー。
※復讐したい (幻冬舎文庫)より引用
殺人事件とかで遺族のインタビューとか見てるとたまに思うよね、「犯人に復讐したいのかな?」って。
それを具現化した小説です。
妻の復讐をしたい泰之の執念、そして逃げる犯人の生きようとする執念のぶつかり合いは読みごたえ十分です。
そしてそのラストは…考えさせられる結末です。
6位「スイッチを押すとき」のあらすじと感想
青少年自殺抑制プロジェクトセンターで、監視員として勤務する南洋平。ここでは、4人の少年少女に、自らの命を絶つ“赤いスイッチ”を持たせ、実験をしていた。極限状態で軟禁され、孤独に耐えられず次々と命を絶つはずが、この4人は“7年間もスイッチを押さない”という異例の子供だったのだ。彼らが生きたいと願うその理由を聞き、南たちは脱出を図るが、そこには非情な運命が待ちうけており―。
※スイッチを押すとき (角川文庫)より引用
子供たちが次々と命を絶つ描写は、切ないでもなくもはや残酷です。
読んでいて本当に心がつらかった。
ただ、「この子たちはどうなるんだ?」と一心腐乱に読みふけってしまったので、間違いなく読者を引き込む魔力があります。
最後の最後も…目が離せないですよ!
5位「キリン」のあらすじと感想
天才精子バンクで生まれた兄弟―天才数学者の遺伝子を受け継ぐ兄は容姿に優れなかったため、弟の麒麟は「パーフェクトベイビー」を望む母親の期待を一身に背負っていた。しかし、背中に怪しいシミが浮かんだ時から成長が停止。“失敗作”の烙印を押された彼は母と兄から見捨てられてしまう。孤島に幽閉されても家族の絆を信じ続ける麒麟に、運命が残酷に立ちはだかる!最も切ない山田悠介作品が、待望の文庫化!!
※キリン (角川文庫)より引用
切ない…
本当に切ないです。
母の厚子には殺意しか湧いてきません。
ただ、家族ってものを思わず考えさせられます。
それぐらいのインパクトがある作品です。
恐らく技術的には、同じように天才の精子を集めて…ってことが出来ると思うので、将来的にこんな出来事が世界中のどこかで起こるのかもなぁなんて思うとぞっとします。
4位「スピン」のあらすじと感想
ネットで知り合った、顔を知らない6人の少年たち。「世間を驚かせようぜ」その一言で、彼らは6都市で同時刻にバスジャックを開始した。そんなバスに運悪く乗り合わせたのは、正月早々バイトをクビになった無職の奥野修一。コンビニで万引きをしてしまい、店員から逃げたあげくに乗り込んだバスが、ジャックされてしまったのだ。少年たちの目的地は東京タワー。果たして6台のバスの結末と、乗り合わせた乗客の運命は―。
※スピン (角川文庫)より引用
バスジャックをした少年たちがそれぞれ個性的。
感情移入しちゃう子や全く出来ない子、色んなタイプがいて、色々なバスジャックの形になっているのが面白いです。
物語が佳境に向かうにつれて、ハラハラドキドキが増していきますからね。
そしてハラハラドキドキがピークに達するラストでは……読み終わった後はしばらく衝撃が残りました。
3位「リアル鬼ごっこ」のあらすじと感想
全国500万の「佐藤」姓を皆殺しにせよ!―西暦3000年、国王はある日突然、7日間にわたる大量虐殺を決行した。生き残りを誓う大学生・佐藤翼の眼前で殺されていく父や友。陸上選手の翼は、幼い頃に生き別れた妹を探し出すため死の競走路を疾走する。
※リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)より引用
ホント天才的なアイディアだと思う。
このあらすじを見て読んでみたいと思わない人がいるんだろうか、いやいない!
もう設定の時点で最高に面白い!
この最高の舞台がどうなっていくのか知りたくて、あっという間に読み終えた記憶があります。
山田悠介先生の原点とも言える作品です。
読んでいない方は是非。
2位「DUST」のあらすじと感想
二〇一一年、国はニートと呼ばれる若者たちを“世の中のゴミ”として流罪にする法律を制定した。ある日突然、孤島に“棄民”された章弘と五人の若者たち。刑期は五〇〇日。絶えず襲いかかる敵の襲撃と飢餓の恐怖。生死を賭けたサバイバルの中で、仲間同士の裏切り、殺し合い、そして友情と恋愛。この島から、いったい何人が生きて出られるのか。
※特別法第001条DUST(ダスト) (幻冬舎文庫)より引用
孤島でのサバイバルはスリリングな展開の連続!
心を揺さぶる場面がいくつもあり、夢中になること間違いなし。
後半はちょっと駆け足で進んで行っちゃうのが惜しい。
そこさえちゃんとしてればもっと面白かったのに。
1位「その時までサヨナラ」のあらすじと感想
別居中の妻子が、旅先で列車事故に遭遇した。仕事のことしか頭にない悟は、奇跡的に生還した息子を義理の両親に引き取らせようとする。ところが、亡き妻の親友という謎の女の登場で、事態は思いもかけない展開を見せ始めた。はたして彼女は何者なのか。そして事故現場から見つかった結婚指輪に、妻が託した想いとは?ホラーの鬼才が切り拓く愛と絆の感動ミステリー。
※【文庫】 その時までサヨナラ (文芸社文庫)より引用
圧倒的に面白かった!
山田悠介作品の中では異端の純愛系。
終盤、鳥肌が立ったし、思いっきり号泣してしまった…
愛情の良さがストレートに伝わってくる内容です。
個人的には一番のおすすめです。
以上、山田悠介のおすすめ小説ベスト15でした。
是非読んでみて下さいね。