「弓返りしない!」
「どうすれば弓返りするの!?」
気持ちは痛い程よくわかります。
僕もめちゃめちゃ苦労しましたから…
高校3年間やってましたが、引退の2か月前にやっと出来るようになりました。
それまでは「皆弓返りしてていいな~」と試行錯誤の毎日。
多分同じように思っている方も多いと思いますので、弓返りの方法について一から解説していきます。
目次
弓返りってそもそも必要?
ぶっちゃけ必要性は薄いです。
的中には関係ありませんし、なんなら弐段審査までなら弓返りしてなくても合格出来ます。
ただ、参段以降の審査では必要になっていきます。
(参段に弓返りしてなくても受かった人もいます。必須ではないようです。)
そして何より、見た目の問題ですよね。
明らかに弓返りしてた方が格好いい!
してないとこう…初心者っぽいんですよね。
なので、「弓返りしたい!」という気持ちは痛い程わかります。
弓返りの原理
言葉で説明できる気がしないので、図にするとこんな感じ↓
※画像はhttps://www.youtube.com/watch?v=a4uPm9PTStkより引用して編集してます
青色の線が弦の動きです。
このように弦が動くので、弓の右側に力が加わって回るわけです。
なぜ弦がこんな動きをするかと言いますと、いくつか要因があります。
弓の構造上
弓に弦を張った状態にすると、弦が弓の中央でなく、やや右側になるようになっています。
元々弦が右側を通ることを想定して作られてるわけです。
妻手のひねりによる力
「妻手は引き分け時にひねる!」
弓道をしてると必ずこのように指導されますが、これによって弦が図のように動くことになります。
ひねりがちゃんと出来ていない場合(例えばがっつり手首で引いたり)、ちゃんと右側を通らずに、直線に近い動きをします。
角見を効かすことによる力
角見は親指の付け根のところの事です。
ここをグッと押し込むので、弓の右側に力が加わって回ります。
これらを実践できていれば、(理屈上は)自然と弓返りはします。
が!
周りを見渡した時に、「あれっ?あの人ひねりとか角見とか出来てないけど弓返りしてる…?」って人が結構いることに気付きます。
実は弓返りじゃなく弓返しをしちゃってる方ってかなり多いんですよ。
弓返しとは?
離れの瞬間にパッと弓を離しつつ、手首で弓を回すやり方の事です。
この弓返しは弓道においては完全な悪癖です。
弓手がぶれやすいので的中は下がりますし、手首に負担がかかるので怪我をしやすくなります。
そもそも弓返りじゃなく弓返しなので、これで審査を通過できるかと言えば微妙なところです。(仮に参段はギリいけても四段は厳しいと思う)
弓返しになってしまう位なら、弓なんて回らない方が良いです。
弓返しの特徴
弓が親指一本分以上落ちてる
一度弓を離してるので、やたらと弓が落ちるのが特徴です。
ちゃんと弓返りが出来ている場合、親指一本分以内しか弓は落ちません。
左手首を左にねじっている
弓を回すために思いっきり左にねじっているので、残心時に左手首が左に向いています。
ちゃんと弓返りが出来ている場合、的の方に向いたままになっているはずです。
弓返しにならないよう、注意して練習に取り組みましょう。
では次に、弓返りしない原因を見ていきます。
弓返りしない原因
どれか一つでも該当していると弓返りしません。
思い当たる節がある方は修正していきましょう。
特に、妻手のひねりと角見に関しては的中に直結する部分なので、要改善ポイントです。
弓を握りすぎている
弦の反動で弓が回るわけなので、弓をがっちり握ってしまうと、当然ですが回りません。
ですが、的中のことを考えると、弓を思いっきり固定してしまった方が中りやすいです。
そのため、「握りすぎないように」と思っても、「的に中てるために」自然と力が入りすぎてしまい、弓返りしません。
僕も結局大会が終わるまでは一切弓返りしませんでした。
大会が終わり、的中のことを気にせずに引いている時に突然弓返りするようになりましたので、的中から意識を離さないと難しいかもしれません。
妻手のひねりが弱い
先ほどの解説とかぶりますが、ひねりが弱いと弦がちゃんと右側を通っていかないので、弓返りしません。
ひねりが弱い(もしくは必要以上にひねりすぎ)場合、右頬や左腕を払ったりします。
あと、離れで緩むとひねりが無効になるので、緩みもダメです。
角見が効いていない
こちらも同様にかぶりますが、角見が効いていないと弓の右側に力がかからないので、弓返りしません。
それに、角見でなく手全体で押してしまっている場合、手と弓の接地面積が増えてしまい、その分弓は回らなくなってしまいます。
弓返りを習得するための練習法とコツ
正しい手の内をマスターする
弓返りは9割方手の内の問題です。
なので、正しい手の内について解説していきます。
ちなみに、「指をこう揃える!」というように細かく指導される方もいますが、そのあたりは正直どうでもいいと思います。(どうでも良くはないんですが…)
指の長さとかはそれぞれ個人差があるので、ベストな手の内って人によって微妙に異なるんです。
なので、下記の3つの原則だけ守っていればOKです。
①天紋筋に弓の左側をあてる
天紋筋は軽く握った時に出来る線のこと。
だいたい人差し指や小指の少し下に出来ます。
ここを会の時点で、弓の左の外側(体から遠い方)の角にあてていればOKです。
②角見で押す
具体的に言えば、親指と人差し指の付け根で押します。
中指の付け根は弓につくかつかないか程度、薬指の付け根は弓に接しない状態が正しい押し方です。
③指先の力を抜く
卵を握るように柔らかく軽く弓を握ります。
握るというより、親指と中指でわっかを作って、その中に弓を入れる。
薬指と小指は添えるだけです。
①と②はある程度したら出来るようになる方は多いですが、③が一番難しいです。
なので、③のマスター方法をご紹介します。
弓が回る感覚を身に付けるための素引き
弓返りをしたことがないと、弓が回るということがイマイチ理解出来ません。
頭で理解してても、体感として理解できないのです。
そのため、どこまで指の力を抜いていいのかわからず、中々弓返りしません。
そこで、素引きで弓返りする感覚を身に付けると、指の力の抜き具合がわかり、弓返りをマスターしやすくなります。
正しい手の内をした状態で、肘のあたりまで素引きして、弦を離します。
これで弓返りするようになるまで続けます。
最初は回らないかもしれませんが、徐々に指の力を抜いていくことで回るようになっていきます。
こうやって指の力の抜き加減と、弓が回る感覚を身に付けると、劇的に弓返りしやすくなります。
※弓を落としやすいので畳の上で練習するようにして下さい
ここまでいけば、あとは弓返りなんて時間の問題です。
ある日突然出来るようになります。
くれぐれ弓返ししないように気を付けて下さいね。